皮膚と浅層ファシアと筋外膜と筋肉と。

 早い者で3月も第二週に突入しました。まだまだ寒くて、ここ数日は東広島では雪が降ってみたり。
 なごり雪ですかね。
 まだまだ寒いです。みなさん、お体にお気をつけください。

 さて以前、ファシアについてチョコっと書きました。
 その記事の中で「この浅層ファシアが腱引きにも深く関係しているんじゃないかなぁと、自分は考えています」と書いています。
 今回はその辺りのお話。

 腱引きは「捉えて離さず、引いて弾かず」が口伝にあります。これはファシアの特性である「瞬間的な衝撃には強く、持続的な力で可逆性の変形をする」という性質に合った施術方法ではないかと思うのです。
 浅層ファシアというのは、皮膚の下にあるいわゆる脂肪層になります。この脂肪層は脂肪が主な構成要素ではなく、膠原繊維(コラーゲン)と基質。そして水分から構成されており、その中に脂肪が蓄えられる形になっています。
 その下は深層ファシア(筋外膜)で、更に下の層が筋肉組織になります。
 もちろん「捉えて離さない」のは筋・腱のことでしょう。しかし筋肉を触ろうと思うと、少なくとも皮膚-浅層ファシア-深層ファシア(筋外膜)の三層の上から触ることになります。
 腱引きでは指先で〝腱を引く〟と言われるように筋肉を指先で捉えるわけですが、その時は筋肉の上になる三層も捉えているわけです。
 また皮下脂肪が厚い場合、最初は筋肉に上手く触れることができません。浅層ファシアに阻まれて指が入っていかないんですね。でも経験を積んでいくと、指が奥へと入っていく感触が分かるようになります。

 これは〝指が出来てくる〟からなのですが、それは力の入れ方(使い方)のことでもあると個人的には思います。
 腱引きを習った当初は指に力を入れて腱を引こうとします。腰の腱を引く練習を始めると、最初の頃は練習が終わると指が痛くなってきます。
 指先に力が入ってしまうからなんですね。そして最初は〝引く〟のではなく瞬間的に〝弾(ひ)こう〟とします。
 ファシアというのは瞬間的な衝撃には強く、持続的な力で可逆性の変形をしていきます。ですからグッと力を込めて素早く指を動かそうとすると、浅層ファシアによって阻まれてしまいます。
 皮下脂肪の少ない方に対する施術ならそれでも筋肉まで届きます。
 ですが経験を積んで指先に余計な力を入れない(腰の腱を引くなら体重も使う)ことを覚えてくると、皮下脂肪の多い方でも少しずつ指が届くようになってきます。
 口伝にはもう少し先の言葉があるのですが、その感覚は筋肉のみを狙うというよりも浅層ファシアを含む外側からの触り方でもあるのではないかと思うのです。

 また浅層ファシアに関してはこんな実験もあります。
 腹部に傷を作ったマウスを20匹使い、七日間毎日数分ずつ腹部をマッサージしたグループ(10匹)とマッサージをしなかったグループ(10匹)をつくります。
 その結果、マッサージをしたグループのマウスは傷の治りが早く、その傷跡も綺麗であったといいます。中には傷跡が消えてしまった個体もあったとか。
 これ、腱引きをやってる人だとピンとくるものがあるんじゃないでしょうか?

 腱引きといのは筋肉に対するアプローチであることは間違いありません。しかし、筋肉に触れる為には「皮膚-浅層ファシア-深層ファシア(筋外膜)の三層」も同時に触れなくてはならない。
 ですから腱引きとは筋膜(浅層や深層のファシア)に対してもアプローチしていると言えると思います。
 奇しくも腱引きの概念を筋膜リリースと同じであると考えた医師の方もいらしゃいます。

 『難病治療・筋膜リリース・腱引き・その威力』 ― 日常損傷病学より ―

 この方は実際に師匠の施術を目の当たりにし、その理念に共感してくださったようです。
 また腱引きと連携した治療もされています。
 師匠のFacebookより。
 「腱引き 一伶庵」より。

 腱引きだけでなく、筋肉に対するアプローチをしているのなら昔からある手技の殆どは筋膜にもアプローチしていたことになる……という声もあるかと思います。
 もちろんその通りでしょう。中にはロルフィングのように筋膜を施術対象としていると明言している手技もあります。
 ただ個人的には〝圧す〟のではなく、腱引きの指先で〝捉えて〟〝引く〟という独自の手技に大きな意味があったのではないかと考えます。
 この辺りは、ウォルフの法則や圧電効果の話も絡むと想像しているのですが、またの機会に。

 しかし何というか結合組織であるファシアというものを考えるにつけ、数多の療法が「筋膜が」とか「筋肉が」とか「骨が」と細分に固執しすぎているきらいがあるかも。
 体はすべて繋がっていると考えると、木をみて森を見ずにならないように気をつけたいなと思います。

 何処に行っても良くならない、という方。
 今までとは違う何かを求めている方。

 東広島道場でお待ちしております。

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ソレの名は。

 明日は一時的に暖かくなるみたいですね。
 寒暖差にはご注意ください。

 さて、この記事の続き。
 リンク先の記事では腱引きが痛い理由として筋肉の状態の話をしました。
 筋肉に影響を与えているのは、環境でありそれに合わせるための脳からの指令であると。
 そして筋肉に影響を与えている存在として他にも筋膜というのがあるよ……というものちょっと書きました。
 正確には筋膜などに代表されるコラーゲンで作られた密性泉維性結合組織のことです。

 筋膜はここ数年、何かと話題です。
 この筋膜が筋肉やその他、体に対して様々な影響を与えており、その筋膜にアプローチすることで改善をするというものも増えてきました。
 筋膜で調べると、日本では筋肉の周りを覆っている〝筋外膜〟を指すことが多いみたいですね。
 筋外膜とは文字通り、筋肉を覆っている膜のことでこの膜が歪むことで筋肉に影響を与えると言われています。
 また筋膜は全身を覆っており、脚にあった筋膜の歪みによって肩の筋膜が引っ張られることで肩に不調がでる……なんてことも言われています。

 しかし筋膜と言っても、実際は筋肉の外周を覆っている〝筋外膜〟。筋維束(筋繊維をまとめたもの)を覆っている〝筋周膜〟。そして筋繊維を覆っている〝筋内膜〟と色々あります。
 更にはそのすべては繋がっていて、筋膜だけでなく骨膜や腱、靱帯といった組織も含めて〝ひとまとまりの組織〟と捕らえるのが最近の考えらしいです。
 西洋医学では「Fascia(ファシア)」という名称がついており、このFascia(以後、ファシアと表記)が日本では筋膜と訳されています。
 ですが、ファシアは筋肉を覆う筋膜だけでなく骨膜や腱・靱帯といったものまで含む結合組織といえるので、筋膜とだけ訳してしまうのは少々疑問に思います。
 ファシアも存在する場所によって様々な名称を与えられることはあるとは思いますが、完全に切り分けて考えてしまうものでもないんじゃないかな、と。
 ですのでこのブログでは筋膜などの膜組織をすべてファシアという言葉で統一して書こうと思います。

 さてではファシアは何を結合しているのか?
 それは皮膚であり筋肉であり、内臓であり骨です。体はファシアで満たされていると言っても問題ないと思います。
 そして骨や筋肉などと共に、ファシアは張力ネットワークを構成します。
 正確にはファシアを構成するコラーゲン線維が張力を発揮するには大量の液体が必要になります。ですからファシアは大雑把に言ってしまうと、コラーゲンと大量の水分で構成されています。
 またファシアの中にはエラスチン線維という弾性線維も存在します。なのでファシアは張力に強いコラーゲンによって千切れにくく、エラスチンによって元の形に戻ろうとします。

 人間の体は皮膚で覆われていますがその下に〝浅層ファシア〟存在します。解剖学では脂肪層と言われている部分です。浅層ファシアは水分だけでなく脂肪もその中に蓄えているのです。
 その下にあるのが〝深層ファシア〟で筋外膜にあたります。更には筋肉とその下には腹膜・胸膜などのファシア。内臓を個別に覆うファシアなど、ファシアと各組織という層の連続になっています。
 そして各層は疎性結合組織によって滑り合う、ゆるい結合状態を作っています。もっというと内蔵は漿膜という二重構造のファシアに覆われており、その間を漿液で満たすことによって滑り移動します。

 ファシアは思いのほか頑丈です。人間の力では簡単に千切れないくらいには。
 実際に解剖しなくても、この頑丈さの一端を体験することができます。
 自分のふともも前面を指で軽くつまんでみてください。そのまま引っ張ったら伸びると思います。
 そのつまんでいるのが、皮膚とその下にある浅層ファシアです。皮(皮膚)をつまんでいると思った方も多いと思いますが、その下の浅層ファシアも一緒につまんでいます。脂肪の多い方はつまみにくいかもしれません。
 ちなみに指先の感覚が鋭い人は筋肉の表面から寄せ集めるようにつまんでみてください。軽くつまんだ時と感じが違うと思います。軽くつまんだ時よりも伸びない。
 これは筋外膜である深層ファシアも引っ張っているからだと思います。

 今度は両手の指でつまんで伸ばしてみてください。そして別々の方向に引っ張ってみてください。
 チョット痛いけど(笑)、簡単には千切れないでしょ? 丈夫だし弾性もあります。ファシアは立派な緩衝材となって私たちの体を守ってくれているのです。
 その他にもファシアそのものについては色々と書いてみたいんですが、それはまた後日に詳しく。
 ここではまず浅層ファシアなるものが皮膚の下にあるということだけ覚えておいてください。
 そしてこの浅層ファシアが腱引きにも深く関係しているんじゃないかなぁと、自分は考えています。

 それはファシアの性質と関連しています。
 ファシアは瞬間的な衝撃には強く、持続的な力で可逆性の変形をしていきます。
 例えば湯舟に張ったお湯を思い出してください。お湯を思いっきり叩くと手にかなりの衝撃を感じると思います。しかしゆっくりと湯につけていくとさほど抵抗せずに手が沈んでいくと思います。
 力の加減で反応は変わってきます。同じことがファシアでも起こるのです。
 そして腱引きの口伝で「捉えて離さず、引いて弾かず」というのがあります。
 この〝捉えて離さない〟のは何をなのか? 〝弾かず〟なのはなぜなのか?
 捉えるのはもちろん筋肉なのですが、浅層ファシアも含めて捉えるのではないかと思います。また弾かないのは浅層ファシアに働きかける意味もあるのではないかと。
 このあたりの考察は長くなるので次回に。

 それよりも浅層ファシアが研究され始めて一つ言われていることがあります。
 「今まで筋肉と思って触れていたのは浅層ファシアではないのか?」ということです。浅層ファシアはかなり頑丈です。また上にも書いた特性以外にも浅層ファシアには様々な特性があります(これも次回以降に)
 それを踏まえた上で触っていたのは筋肉か否か……と考えた時、やはり自分は筋肉〝にも〟触っていると思います。
 腱引き師なら誰しも経験はあると思いますが、脂肪の厚い人の施術をする時に経験の浅い腱引き師は上手く筋肉に触れることはできません。
 しかし経験を積んでいくと〝届く〟ようになります。
 これはあくまで個人の感覚の問題なので、信頼できるエビデンスがあるわけではありません。いち腱引き師の戯言でもあります。
 なので提携している徳島大学あたりで、腱引きと浅層ファシアに絞った研究をしてくれないかなぁ……なんて思います。きっと面白いと思うんですよね。

 ところで徳島大学と言えば、3/15(水)に日本外国特派員協会で大橋教授による腱引きの学術的な説明が行われます。
 「腱引きナイト」というイベントになります。興味を持った方はぜひご参加ください。
 研究者からみた腱引きについての考察を聴くことができます。

 日時:2017年(平成29年) 3/15(水) 18:00開場 18:30開演
 場所:公益社団法人 日本外国特派員協会(FCCJ)
     東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館20階
 参加費:3,000円を予定(夕食をご用意いたします)

 お問い合わせは筋整流法協会事務局まで。

 筋膜なら任せて、という方。
 筋膜研究会議に参加したことがあるよ、という方。

 東広島道場でお待ちしております。

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腰痛・肩こり・頭痛・関節痛なんでもござれ。
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